フィリピンの廃ホテルなどから日本に特殊詐欺の電話をかけ続ける。こんな「仕事」を4年ほど続けた女が所属した組織は、後に「ルフィ」などと名乗り、日本各地での強盗を指揮したとされる男が仕切っていた。女が法廷で明かした、異国の犯罪組織での日々は――。
7月28日に東京地裁であった初公判。長い黒髪、グレーのスウェット姿の被告の女(27)は、付き添いの職員2人を置いていかんばかりの足取りで弁護側の席に向かった。
2019年11月、フィリピンから東京都内の高齢者2人に、警察官などを演じて「口座が不正に残高照会されている」と電話をかけた。さらに「財務局」職員を名乗る共犯者が被害者宅を訪れてキャッシュカードを盗み取り、ATMで計約414万円を引き出した――。
被告はこうした起訴内容について、よく響く声で「協力したことは間違いありません」「直接引き出したことはない」と答えた。
始まりはツイッター、やがてフィリピンへ
そして、弁護人の質問に答える形で、来し方を振り返った。
被告「30~40歳でも働ける仕事をしたいと。ツイッターで『闇バイト』と検索して見つけました」
弁護人「(渡航に使った)チケットは?」
被告「いきなり送られてきた。行かざるを得なくてフィリピンに行った」
19年9月、現地に到着すると、空港に2人が迎えに来て、廃ホテルに移動した。
弁護人「ホテルに着いてから…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル